毒食わば皿まで 2

毒食わば皿まで http://dokusara.exblog.jp の続き

新世界国際劇場顛末

みなさま

 

わたしはマッツ・ミケルセンを推しているので、若マッツが出てるプッシャーというデンマーク映画ニコラス・ウィンディング・レフン監督レトロスペクティヴが新世界国際劇場であると聞き、本当は一個めのプッシャーから見たかったですが、無理だったので、プッシャー2を見に行きました。

巨匠も誘ったけど、別にマッツの映画興味ないけど、どんな話?内容によっては行こか?と言われ、麻薬の売人が出てくる荒れた話、と言ったら、ええわ、興味ない、と言われ、まぁそやろな、想像通りの返答で、腹括って一人で行きました。

新世界で一人映画ということなので、深夜とか遅い時間はやめておこうと思い、日曜の昼を目指して行きました。

電車で動物園前駅へ。

動物さんのおしりが描いてあるかわいい壁面のホームですが、工事で隠れていました。

ところどころ動物の絵が見えるようにカバーをひん剥いて工事していました。

新世界は賑わっており、串カツ屋や立ち飲み屋に行列ができ、観光客の姿が目立ちます。f:id:dokusara:20221213085744j:image

ガヤガヤしていて雑多な感じですが、そんなに乱れた風でもなく、まぁ、日曜の昼はこんな感じやろ、と思いながら映画館へ。

f:id:dokusara:20221213085808j:imageポルノの絵看板が目につきますね。f:id:dokusara:20221213085842j:imageこれこれ、プッシャー2を見にきました。f:id:dokusara:20221213085916j:imageオリジナルのポスターと、オリジナルの煽り文句。

ム所出所した男、転がり込み先は、ギャング牛耳る凶悪父…、ヤクの取引でヘマやらかして、闇社会の狂気に溺れ逝く!

借金負わせ、殺人強要する鬼畜父!子供放置でヤクに溺れ狂うイカれ嫁!闇落ちブチ切れ息子怒りの凶行!

別件で連絡とっていたうつみさんに教えてあげたら、久しぶりに下品のシャワー浴び、新鮮な気持ち、と言われました。

イケないムスコ、明日なき暴走!

どんな映画なんかね。

とりあえず、券売機で券を買いました。

映画は、昔よくあった3本立てで、出入り自由の上映。

ニューヨーク1997ソニックザムービー、プッシャー2の3本で1000円。

ソニックザムービー?あのソニックか?f:id:dokusara:20221216203548j:imageこれこれ、これを、マッツのプッシャーと抱き合わせるのん?

なんやそら。

とりあえず入ってみます。

地下ポルノと同じ入り口の暖簾をくぐると、自販機が2台あって、右がポルノの自販機、左が地上のわたしが行く方。

切符買ってたら隣ににいちゃん?おっさん?来て、ポルノの切符を買い、さっさと地下へ降りて行きました。日曜の昼からポルノ映画観にくる人もおるんやな。そらどうぞご自由に。地下のポルノやってる方は800円、こちらは3本千円。

入ったところに、もぎりのおっちゃんがいて、切符渡して、入りました。f:id:dokusara:20221216203748j:image15:35からのを見ます。

なんか早く着いたので小一時間以上あります。

入ってみると、おじいさんと女装のおじさんばっかり。

じつは、ここの映画館は、女装のハッテン場として有名で、Googleマップでも口コミにそんなこと書いてあるんですが、日曜の昼は、まだ比較的マシなんちゃうのん、と、期待を込めてやってきたわけです。

地下はポルノやからともかく、地上は普通の映画やってるわけやし、、と、しかし色々ネットの海を漂い、いろんなお話を読んでいくと男の人が痴漢にあった話なども出てきてビビったので、極力汚い格好で、できるだけ女のかけらを隠して乗り込みました。

山に行く汚ダウン、顔はすっぴんで、ニット帽で髪の毛を全部隠し、足のラインが出ないダボっとしたジーパン、巨匠が普段使っている斜めかけカバン。スリもいると聞き、財布もいつものやつではなく海外旅行用の紐で鞄に結びつけれるやつにして、しっかり鞄に結わえました。

女の子!て言う感じのカッコでは無いはずやけど、そこらにいる女装とじいさんに、めっちゃジロジロ見られます。

なんか臭いし、ちょっと異様な雰囲気です。f:id:dokusara:20221216204932j:imageマッツ見に来ただけやのに、なんなん、ここは。f:id:dokusara:20221216205049j:image時間あるので少し探検。f:id:dokusara:20221216205118j:imageいろんな意味で治安が悪いのでドアがわざと開けてあります。f:id:dokusara:20221216205213j:image中はあのソニックやってます。

ソニック、じいさんと女装が日曜の昼からこんなに大勢、見るような映画か?

ちょっと映画館の席の方に入ってみましたが、お風呂入ってなさそうなじいさんの臭いとか便所臭いにおいとか、なんというかムッとした臭さと、意外にもなんや異様にいっぱい人がおるし、手すりのところにも立っており、妙に混んでいました。

実は国際劇場の治安の悪さがどれくらいか調べてみた時に、男の人が手すりのところに立ってたら、その男の人は触られても良い、チカンされるのオッケイの意味、と、言う暗黙のルールがあるとか書いてあるのがあり、触られるのが男の人だとしても、暗い中、妙な雰囲気の人をかき分けて席についてまでソニック見る気もせんし、何にしても気持ち悪いので一旦出ることにしました。なんか臭いし。f:id:dokusara:20221217010252j:imageもぎりのおじさんにプッシャー2までの間いっぺん出たいです、言うたら、これ持っていってまたここで出してください、と、言われて出ました。

えー、映画までまだ30分以上ありますやん。

ふと振り返ったら、堺の刃物に魅せられたカナダ人の人がやってる有名な刃物屋さんがあり、あ、おばあちゃんの散髪用のハサミの手入れ、聞いてみよ、と、入って聞いてみました。

カナダ人の店主は接客中で、別の女の人が話聞いてくれて、写真をメールするかハサミを持ってきたら見てくれるとのこと。

ガチ美容師向けのハサミ研ぎの人よりも、祖母の形見のハサミ、と言うストーリーを愛想よく聞いてくれて、いろんなお客おる店の方が懐深いかな、と思いました。

f:id:dokusara:20221217010921j:imageなおちゃん〜、本当にあの映画館で映画見るの?

みんながちょっと心配しております。

ここまでわざわざ来たねんから、見るやろ。。

毒食わば皿までやで。f:id:dokusara:20221217011102j:image時間潰しにちょっと散歩しました。

人出は結構戻っており、団体客や中国語、外国語も聴こえて、賑やかな感じ。

やっぱ、新世界全体は、日曜の昼、と言うイメージ通りです。

通天閣の真下には銭湯もあり、面白そうやな、と思いましたがとりあえずスルー。f:id:dokusara:20221217011837j:image12月なのにブーゲンビリア咲いてました。

面白そうな飲食店もあり、まぁ、新世界はおもろそうやな、と思いウロウロ。

ここらあたりは、結核罹患率が日本で最悪らしく、情報ツウのエリナ嬢に、マスク二枚重ねして行きなよ、と言われていました。f:id:dokusara:20221217012125j:imageそろそろ時間。

いざゆかん。f:id:dokusara:20221217012156j:image再入場し、二階は女装がハッテンしてることが多いから、一階がまだマシ、との先行研究を読み、ソニックが終わって明るい上映室に入っていきました。

とりあえず普通に歩いて、一番前の席に座ったんですが、視線が刺さる刺さる…。なんこれ、めっちゃみんなわたしのことガン見するやん…。

館内、じいさんとおっさんと女装しかおらず、全員が私のことをジロジロ見てくる。あんまりみんなにジロジロ見られるもんで、ちょっと怖い。

怖くなったので、モギリのにいちゃんに、ちょっとみんなめっちゃ見てくるからなんやめっちゃビビるんやけど!私映画観に来てるねんけど、どの席が比較的危なくないですか、と、聞きました。

モギリのにいちゃん、なんかされたら声出して制してもうたら、とことん危ないてことにはなりませんし、大声出してもらったらボク駆けつけます、一階は巡回もしてます、映画は二階の映写機の真前からなら、わりと静かに見てもらえます、と、いいました。

二階はマシなん?先行研究とちょっとちゃうやん、、ホンマか?と思いつつ、2階の方が多分静か、と、にいちゃんが言うのを、おっしゃ、、ほなら、もう腹括って信じましょ!と、二階に上がることにしました。

二階は、座席の構造上、ジロジロは見られにくいです。f:id:dokusara:20221217013044j:image全部前向いてるのが映画館ですからね。

治安の悪さからか、ソーシャルディスタンスのためか、ひと席ごとに空けて座るように、とらロープで席が一個飛ばしで縛ってあります。f:id:dokusara:20221217014022j:imageこの左側の袖にある四角いのは、なんと女子便所(中国の扉無いトイレ使える私も絶対使う気がせん此処の女子便所)。

逆側は男子便所。

上映室の中に便所があるから、余計臭いんですかね。館内に清潔感はありません。レトロな館内はある意味雰囲気たっぷりで、建物自体は興味をそそりますが、自分が女やと言うことでこんなにビビる羽目になるとは思わずやり場のない怒りを感じます。

とりあえず、戦闘モードで目を三角にして席に着き、映画始まりました。

近くで人の気配がするだけでも緊張する中、スクリーンでは若マッツが出てきて、刑務所から出所しました。

最初は左側の遠くに、セーラー服着た女装が俯いて座ってんな、と思って、痴漢プレイとかおっぱじまったらかなわんな、やな感じなったら出よ、と、気になってましたが、マッツの名演技のおかげで、次第に気にならなくなってきました。

そうこうしてると、何ややたらとわたしの前を人が通り過ぎます。

めっちゃ前通るやん!

全員にガン飛ばし、変なことしたらシバく、という気迫でおりましたが、それにしても異様に人が前を通り過ぎる。後ろ通路ですわ。後ろ通ってくれや…。しかも同じ爺さんが何人も何度も通り過ぎます。同じ爺さんと同じ女装の組み合わせも何往復もしていきます。しまいにイラつきましたので、映画見とんですけどね!何で前をそんなに通り過ぎますねんやろか!と、通り過ぎる人みんなに毎度言いましたら、だいぶ通行率は減りました。

映画はそらよくて、あの下品な煽り文句はまぁそやねんけど、そんな簡単な話じゃないやん、という、言葉にならない自分らの境遇への苛立ちがマッツの演技で痛いほど伝わり、それはこの街の苛立ちにも似てるのでは、とか思ったけど、そんなことは興味なしにか、ウロウロウロウロウロウロしまくる人たち。小学校か幼稚園の芸術鑑賞会の方がちゃんと座って見てるで。

そんなストレスいっぱいの映画鑑賞でしたが、映画の良さ、マッツの演技の良さのおかげで、最後にはしっかり映画に入り込み、あー、トニー(マッツの役の名前)そんなことしていい結果にならへんのに、けど、その気持ちわかる、、と、すっかり同情して、最後の最後、スペシャルサンクストゥーBMW的なことをデン語で書いてあるとこまで全部見て、席を立ちました。

右後ろには人がいてぼんやりスクリーン見てたので、邪魔にならんように逆側から出よ、と思って、さっきは開放してあった上映室のドアを階段に向けヨイショッと開けたら、真正面の椅子に、前を裸けた太った女装(チョコプラの松尾に似てた)の乳首をいじるおっさんが二人。

なんなん、もう、ほんま…。

うんざりするやら、呆れるやら。

ゲッと思ったけど、睨みつけてそのまま階段を降り、モギリのにいちゃんに、言われた席で別に危ない目には合わへんかった、ありがとう。映画もよかった。女装がいっぱいおるのも別にかまへん。けど、階段のとこで前をはだけたおっさんが気色悪いことしとったで、あれ勘弁して、と、言ったら、奥にいた人が、「!今ですか?!」て言うので、今、今、その奥の二階ですわ、と言うたら、その人飛んでいって注意しに行ったみたいでした。

モギリのにいちゃんは、絞り出すように、…また来てくださいね…、といい、はい、ありがとう、と言って出ました。

総括すると、一番嫌なのは、映画見てる時異様にたくさんの人が前を通り過ぎるのが一番嫌でした。

20組以上30組以下の人たちが前を通り、鑑賞の邪魔をしてきました。

二つ目に嫌だったのは、みんなにジロジロ見られて怖かったこと。

三つ目は、ハッテン現場を見てしまったこと。これは、案外、キモ!アホらし、と思ったくらいのことでした。

女装がおるのは別に全然かまへんし、女装とどうにかなりたいおっさんがたくさんくるのも勝手にすればいいです。(どっちかというと、女装さんらのほうがジロジロ見てくる爺さんらよりも女のなりしててこっちに無遠慮な視線を向けて来ない分怖い感じがしなかった)。

ただ、安心して映画に集中できる映画館であってほしいし、その最低限ができない国際劇場は、もう映画館としての役目を終えてしまってるのかな、と思いました。

潰れる前に入ってみて、マッツの映画見れてよかったです。もういかへんと思うけど、えらい冒険でした。

まぁ、映画館やと思って行ったのが間違いやった、ということなんですかね。率直にいうと、映画館と言う看板上げてるのが、もう実情と即して無いんかな、と思いました。映画見に来てる人めっちゃ少なそうやったですもん。

それから、薄暗くなってきてもまだ賑やかな新世界を通り抜け、動物園前から地下鉄乗ってさっさと帰りました。

なんかどっと疲れたので近所のスーパー寄って、カレイの子持ちのやつ買って、優しい煮魚作って、巨匠の帰りを待ちました。巨匠は京都でアルゼンチンから来てるタンゴダンサーのレッスンを受けてきて、有意義な日曜日を過ごしたようで、タンゴのことを話す巨匠と、やさしいカレイの煮付けを食べて、心癒されました。

こう言う時は、島根弁で、せたもんだ、と言うそうです。

 

せたもんだ。

ごきげんよう